コンサルタントのPTA改革(5):役員を改革推進のリーダーへ

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企業における改革を進める場合、社長が改革したい!と叫んだだけでは、普通は何も動きません。しっかり担当役員に改革の意図を理解させ、ミッションを与え、彼らに仕事をしてもらい、実務の中で改革活動を進めてもらわなければなりません。

 

コンサルティングのプロジェクトでは、いわゆる「チェンジ・マネジメント」(変革管理)と呼ばれるもので、改革の中身づくりの活動と並行して行う、改革自体の意図や効果を組織の関係者に順を追って理解させ、行動させるための活動です。実際の改革の中身(戦略・組織や業務プロセスの変更、情報システムの構築、など)をやるだけでは、人間で成り立っている組織では新しい仕組みを使いこなせなければ、改革の成果は本当には出てきません。常にチェンジ・マネジメントを意識し続ける必要があります。

 

そのために改革のオーナー(たいていはCEO)は、変革の目的や活動内容・スケジュールなどを示し、役員や幹部にコミュニケーションし、彼らを改革のリーダーになってもらい、彼ら自身に社員にコミュニケーションしてもらい、組織の上流から下流へ改革の波を伝達していくような活動をします。

 

PTAの改革についても同様のことが言えます。実際に改革の活動を進めるためには、会長ひとりでは全く力不足です。事務局を構成している、副会長・書記・会計の役員の皆さんを味方につけ、改革推進のリーダーとして動いてもらい、実務経験に基づく改革方針への指摘、詳細な活動の見直しや、私の目が行き届かない気遣いをしてもらう必要があります。

 

とは言っても、彼らは最初から私が考えるような改革を理解し、改革をやりたくて役員になったわけではありません。例年同様、昨年度から留任された方や自分からやろうと思ってやっている方に加え、頼まれて断り切ることができずになった方から役員は構成されています。彼らにとっては、今年突然新たに就任した会長が、いきなりめんどくさい事を言い出した、仕事が増えるんじゃないか・・・といった懸念を持ったとしても、不思議ではありません。

 

もともとPTAを変えようと思って会長になった自分は、事務局の中で、変えようという意識を醸成し、こちらの意図を理解してもらい、改革に協力的になってもらうために、就任早々、役員メーリングリストを使ってこちらの改革意図を発信したり、何かにつけ改革事例を紹介したりしていました。

 

このような会長からの発信に対して、どのような反応が返って来るか、どう変わっていくのか・・・と楽しみにしていました。

 

最初のうちはまだまだ様子見という感じで、特に内容に触れない無難な返信が多かったですが、やはり役員の中には、活動に疑問を持っている方もおり、自分が言うように楽しく集まれるPTAにできたらいい、という賛同の声も聞かれたりしました。

 

4月になって初めての運営委員会で全員集合した時には、ちょっと頭ごなしに改革方針を発信してしまったため、性急な行動を慎むよう指摘されたこともありました。これには少し考えさせられましたが、PTAという一般企業と比べて時計の進み方がずいぶん遅い団体において、一年様子を見るような悠長なことはやってられないので、スピードは緩めないものの、内容については過激さを求めず確実に成果の出る方向への軌道修正を考慮するようになりました。

 

そして、検討結果をまとめて5月に実施した、校長先生と直接面談してお墨付きを得た内容を発信した時には、「これなら協力できる」「変えてPTAが良い方向に行くなら賛成」といったような前向きな意見が得られるようになりました。こういった意見には、本当に勇気づけられました。

 

特に大きな衝突がなく、役員の皆さんと改革すること・改革の方向性について合意できたのは良かったと思いました。ここで躓いていたら、物事は全く前に進みません。実際、今後の具体的な運営・活動の内容検討にあたって、役員の皆さんが各常任委員の委員長などを巻き込んで、想定していたよりも自主的に検討を進めてくださり、改革の具体化に大きく貢献してくれることになるのです。

 

さて、これで会長と役員は合意できましたが、改革の中身を具体化するにはどうしたらいいでしょうか。また、その改革の内容が、会員である保護者に受け入れられるかどうかは、どう確認したらいいでしょうか。

 

そもそも保護者は、PTAについて実際のところどう考えているのでしょうか?

 

自分が考えている改革の施策の受け入れ度合いを検証するためにも、改革する前・した後の変化をのちのち確認するためにも、ここで、今まで当小学校PTAではやったことのない、「全校向けアンケート」を取ることを決めました。

 

どのような内容を、どのように集め、どのように回答するのか?

 

私は、仕事が休みだったお盆休みを使って、具体的な検討に着手しはじめました。

 
 
   

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