コンサルタントのPTA改革(12):改革の三本の矢! 三本目:交流の場づくり (その1)

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前々回にも述べたとおり、今年に入ってから実行する主なPTA改革施策は以下の3つです。
 
1.ムリ・ムダのない運営委員会削減、正委員長くじびき廃止、前年度に委員決定
2.分かりやすい情報発信PTAも自由に使える新メールシステム導入、目安箱設置
3.保護者交流の場づくり :学年別ボランティア、保護者交流イベント
 
いよいよ最後の主要施策は、「保護者交流の場づくり」です。
 
ところで、なぜ「交流の場」が必要なのでしょうか?
 
PTAは保護者によるボランティア団体ですが、当校では全部で750世帯以上あり、「PTA」と一言でくくったとしても、同じ地域に住んでいるとしても、ほとんどが見知らぬ他人です。昔からの商店街があるような学区や、世帯が少ない学区のPTAでは事情が異なると思いますが、当校のような新築マンションが建っていくような地域では、基本的にお互いを知る機会が少ないのです。

 
知り合いがいないようなところで、さぁボランティア活動に集まって下さい、と言われて、集まったとしても、周りは知らない人だらけ。意外と孤独だったりします。子ども達のためになる活動だと分かっていても、やっていて楽しいはずはありません。誰しもが、知らない人に声をかけて仲良くなれるような性格であるわけもありません。楽しくなければ、自然と足も遠のきます。そもそも活動参加の心理的ハードルが高いのです。
 
一方、子どもが幼稚園や保育園に通っていたころを思い出してみましょう。
園へのお迎えや、送迎バスの待ち合わせなどで、保護者どうしは自然と顔を合わせます。毎日顔を合わせていれば、会話も生まれます。会話が生まれれば、お互いを理解することができ、そこから新たな交流機会が生まれるでしょう。子ども同士が友だちならば、それはさらに増えていくことでしょう。母親どうしの交流は、自然と父親を巻き込み、家族ぐるみの交流になります。父親も、子どもが登園していたころは、他の父親と知り合いになる機会があったのではないでしょうか。そして、運動会など園のイベントの際は、保護者ボランティアとして活躍されたのではないでしょうか。
 
しかし、子どもが小学校に上がると、事情が変わります。子ども達は自分で学校に行くことになり、保護者もめったに学校に行くことはなくなります。もちろん他の子どもの保護者と顔を合わせる機会もなくなります。さらに、子ども達はどんどん自分でできることが増えていきます。高学年ともなると、運動会の運営の一部を担ったりもします。
 
小学校に上がることで、保護者は、お互いに顔を合わせる機会もなくなり、学校での活躍の場も自然と減っていきます。
 
これが、幼稚園や保育園と、小学校との、保護者交流の背景の違いです。
 
ならば、子ども達が幼稚園や保育園に通っていたころのように、保護者が学校で自然と交流出来る場を創れば、お互いを知り合う機会もできます。そうすれば、学校に来れば知り合いに会えるし、孤独を感じることもなくなります。PTA活動に参加する心理的ハードルも下がっていくのではないでしょうか?
 
私たちは、これまでボランティアを募集して実施していた、ベルマーク整理や、交通安全指導、その他様々なイベント支援の活動を、ただ単に前年踏襲の人集めではなく、保護者が交流できる場として捉え直すことができないか、と考えました。そして、大きく2つの施策を打ち出すこととしました。
 
1つめの施策は、ボランティア活動の再編です。
これまでは、各種ボランティア活動は、全校保護者を対象に募集をかけていました。しかしこれでは、冒頭のように知り合いが誰もいないところに飛び込め、ということで、心理的ハードルが高かったと思います。しかも、活動の内容によっては、小さいお子さんのいる保護者は参加しづらいなど、保護者によって向き・不向きがあるにも関わらず、毎回一律の募集をしていました。結果的に、参加される人の数は希望より下回ることになり、いつもの役員へのしわ寄せにつながりました。
 
今年度は、ボランティア活動を「子どもサポート活動」と名称を変え、学年ごとに活動内容を割り当てる方式に変えました。例えば、小さいお子さんがいてもできるベルマーク整理は一・二年生保護者、春と秋の交通安全指導は高学年保護者に中心となって実施してもらう、という方式です。これにより、活動に参加している保護者は基本的に自分の子どもと同じ学年に子どもがいる保護者となります。子どものことをきっかけにして会話を進めやすくなりますから、周りと会話が合わず変に孤独を感じることも減ります。
 
しかも、この活動は、すべての保護者は年に一度は参加しよう、ということを呼びかけることにしました。強制参加ではないですが、この呼びかけによって、活動への参加の第一歩を踏み出してもらい、学校や地域、子ども達のことを知るきっかけにしてほしいと思いました。PTA活動によくある「やってみたら楽しかった」を、この活動で少しでも感じることができれば、今後の活動参加が増えるかもしれません。
 
今年度に入って、五年生保護者による春の交通安全指導と、一年生保護者によるベルマーク整理が、子どもサポート活動として実施されました。
春の交通安全指導は、多くの参加できる保護者に協力いただきました。参加した方からのコメントの中には、「町会の方がたくさん来てくださっているのを初めて知りました。地域の方に見守っていただいて、とてもありがたいと思いました」といったものもあり、こういう活動に参加することで初めて、自分の子ども達がどのように見守られて学校にかよっているのかということを知るきっかけになっていると思います。
 
残念ながら一部の保護者から、どうしてやらないといけないのか、という意見をいただいたりもしました。確かに朝の30分といえども時間のない人や、どうしても仕事の都合などで参加できない人もいます。この活動は強制ではないので、参加できない場合は別の機会を活用していただきたいと思いますが、PTAとしてもこの活動の意義をもっとアピールし続けていかないといけません。
 
ベルマーク整理は、はじめて学校に関わる一年生の保護者が、クラス単位で集まって実施することにしました。例のメールシステムを使って直前に参加を呼びかけたことも功を奏したのか、世帯数の四分の三くらいの保護者が集まってくれました。「クラスの保護者の方々と接する機会がなかなかないので、作業しながら情報交換できてよかった」、「同じクラスのお母さんたちとワイワイ楽しく作業できた」、「このような作業なら、もう一回くらい参加してもいいと思った」などの前向きなコメントが寄せられました。
 
全国のPTAで、活動のボランティア化を進めていると聞きますが、単に役員仕事からボランティア活動に変えただけでは、あまり人の集まりを期待することはできません。結局一部のやる気あるメンバーに固定化されたり、人集めに苦労したりしていると聞きます。そこにひとひねり、「保護者交流ができる」という工夫を加えることで、保護者にとってボランティアに作業以上の意味を持たせ、参加を促せると思います。
 
2つめの施策は、保護者交流イベントの実施です。今やっている活動を交流の場とするのが「子どもサポート活動」ならば、交流の場を新しくつくってしまおうというのが「保護者交流イベント」です。これについては、話が長くなりますので、次回。
 
 
   

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