コンサルタントのPTA改革(18):チャートでわかる!保護者アンケートの作り方

チャートでわかる!シリーズの第二回目は、PTAアンケートについて。実は、当ブログへの検索流入キーワードで最も多いのがPTAアンケート関連です。
多くのPTA関係者の皆さんが、どうやってアンケートを実施したらいいのか、考えておられるんだろうと思います。
 
PTAのアンケートは、保護者の皆さんがPTAの何らかの事柄についてどう思っているか、を聞くためにやるわけですが、単に聞きたいと思うことを設問でまとめるだけでは、後々うまく有効にアンケート結果を使うことができません。
アンケートは

「何の目的でやるのか」、「何を聞くか・どう聞くか」、

を十分に考えて、アンケート内容を設計しておくことが重要です。まさにアンケートは

設計が8割!

なのです。

 

1. そもそも、保護者アンケートの目的は?

 
さて、まず最初に、何のために保護者アンケートを実施するのでしょうか?
 
保護者アンケートはもちろん保護者の意見を直接聞くためのものですが、「何の」意見を聞くか、という目的をしっかり押さえておくことが大事です。アンケートをやろうとしているいうことは、きっとPTAに関して何らかの問題があり、それを解決するためのステップの一つとして考えておられると思います。ここで、まず問題解決のプロセスを確認しておきましょう。下のチャートをご覧ください。
 
PTAChart_0201
 
これは問題解決の流れを示したチャートです。左から、解決したい現状→現状を生み出している課題→課題を解決するための施策→(施策実施により)解決! というように課題が解決されていく流れです。
 
例として、多くのPTAが悩んでいる「ボランティアを募っても人が集まらない」という現状が挙げられています。この原因となっている課題が「参加しても知り合いが少なく、気が引ける」というものであったとして、それが「学年毎に募集することで知り合い同士で参加できるようにする」という施策で解決され、結果として「参加者が増えた」、という流れも合わせて示しています。
 
この課題解決のステップを作り出すためのポイントが2つあります。図にもありますように、
 

・現状を生み出している課題 を正しく明らかにすること
・課題を解決するための施策 を正しく明らかにすること

 
が大事になります。
ここが、アンケートの出番であり、目的です。アンケートによって、保護者の声を聞き、課題または施策を正しく明らかに理解するのです。
実施するアンケートの質問一つ一つを、課題を明らかにしようとしているのか、または施策を明らかにしようとしているのか、をキチンと意識して作ること、アンケートの目的を明確にすることが大事です。
 

2. アンケートで何をどう聞くか?

 
目的がはっきりすれば、聞くべきこともはっきりします。
 
①課題の明確化が目的の場合、解決したい現状が生まれてしまう原因・理由は何だと保護者は認識しているのか?ということを聞くことになります。
 
②施策の明確化が目的の場合、明らかになった課題に対して、どういう施策をやれば保護者は支持してくれるか?ということを聞くことになります。
 
では、どのような質問で保護者に聞けばいいのか?
 
一般的に、質問のやり方としては2通りの方法があります。それは、「クローズド・クエスチョン」と呼ばれる、はい・いいえや複数の選択肢など、回答の範囲が絞られる質問のやり方と、「オープン・クエスチョン」と呼ばれる、相手からなるべく多くの情報を引き出す質問のやり方です。
 
PTA保護者アンケートでも、この2通りの方法をうまく使い分けて、保護者からの意見を聞き出すことが有効です。次のチャートに例を示しました。
 
PTAChart_0202
 
このチャートでは、「ボランティアが集まらない」という現状の原因となる課題を、保護者から聞こうとする質問の例を記載しています。左側の「a. 保護者に選んでもらう」やり方がクローズド・クエスチョン、右側の「b. 保護者のアイデアを聞く」のがオープン・クエスチョンの例です。
 
「a. 保護者に選んでもらう」場合は、当然ながらアンケートを実施する事務局のほうで選択肢を用意しなければなりません。つまり、現状を引き起こす課題について、これじゃないか、あれじゃないか、という課題の「仮説」(仮の答え)を立てる必要があります。そこはたいへんですが、でも回答がどの選択肢が何個選ばれたか、というように数字で結果が見えますので、比較的答え合わせは簡単です。事務局が考えていたことが保護者でも同じ意見だった、ということが分かれば、課題解決の次のステップに進みやすくなります。
 
一方、「b. 保護者のアイデアを聞く」場合は、特に選択肢なしで質問を作れますし、事務局が考えてもいなかった意見を集めることが出来ます。ただし、結果を数字でまとめることや事務局との答え合わせが少々難しく(文章を一つ一つ読んで分類しなければならない)、課題解決の次のステップに進めるには検討が必要になります。こちらの場合でも、本来は仮説は持っておきながら、選択肢はあえて示さないで自由な意見を聞いて、答え合わせできる準備は必要だと思います。
 
アンケート実施のそれぞれの状況で質問のやり方を使い分けたり、時には組み合わせたりすればよいと思いますが、どちらにしても大事なのは、事務局側で

「保護者が考えていることは、これじゃないか?」という仮説をちゃんと持っておくこと

です。
仮説を持っていて、アンケートで答え合わせできれば、事務局としても自分たちの考えの検証(事実を元に確かめること)ができ、次のステップに前進しやすくなるでしょう。
 
アンケートは作る側も答える側も、それなりに時間を取られるもの。であれば、より効果的にアンケートを実施して、課題解決のステップを前に進めていただければ、と思います。
 
 

ご参考:PTA会長としての試行錯誤のお話は・・・

初めて保護者アンケートを作った時のお話はこちら → コンサルタントのPTA改革(6):保護者向けアンケートの作成
初めてのアンケートを回収した時のお話はこちら → コンサルタントのPTA改革(7):アンケート回答による仮説検証
様々な改革をした後、その評価を聞くためのアンケートの話はこちら → コンサルタントのPTA改革(15):PTAアンケート、再び
 
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