前回の投稿で記述したとおり、今年に入ってから実行する主なPTA改革施策は以下の3つです。
1.ムリ・ムダのない運営 :委員会削減、正委員長くじびき廃止、前年度に委員決定
2.分かりやすい情報発信 :PTAも自由に使える新メールシステム導入、目安箱設置
3.保護者交流の場づくり :学年別ボランティア、保護者交流イベント
新年度に入ってすぐ、2つめの施策である『新メールシステムの導入』を開始しました。メールシステムはあくまで手段であり、目的はPTAからの情報をなるべく早く・安く・多くの方々に届け、PTAへの関心を高めてもらうことにあります。
そもそも、メールシステム云々以前に、PTAの情報発信というのは、基本的に児童を経由する紙のチラシを主体としています。しかしこの方法は、最終的な伝達先である保護者への伝達率が、非常に低いものです。
通常、紙のチラシは次のような流れで保護者へ伝わります。
PTA事務局 → 児童の机やランドセルの中 → 母親 → 父親
そうすると、児童が机やランドセルの中にしまいこんだまま渡すのを忘れることもままあります。締め切り直前になってイベント案内を受け取ることもあります。そして母親はチラシを読んで、家のどこかにしまいこんだり、返信を子どもに持たせたりして、情報の流れは終了です。
しかもこのような情報発信(チラシ作成・配布)のために、PTA役員がわざわざ学校に出てきて何百枚も印刷をし、振り分け、ホチキス止めし・・・と、膨大な手間と費用をかけています。
そこまでして手間と費用をかけて、リターンはどの程度でしょうか。例えばボランティア募集チラシを配信して返って来る率はどの程度でしょうか?せいぜい1%程度です。回収率が少ないからといって、もう一度チラシを配布する手間はかけられません。時間もありません。いきおい、足りないボランティアの人手を、身近な役員・委員さんにお願いしてまかなうことになります。これが結果的に、限られた役員・委員さんに負荷を集中させてしまうことにつながるのです。
他に、何か気づくことはありませんか? そう、学校のチラシが父親の目に触れることが、ほとんどないのです。よほど学校や地域の動きに興味のある父親でない限り、おそらくPTAのチラシを自ら進んで見ようという方はいないのではないでしょうか。これでは、ただでさえ毎日の仕事に忙しく学校や地域から縁遠くなっていく父親が、PTAや学校・地域の情報に触れたり活動に参加したりするということは、どんどんなくなっていきます。
父親の地域・学校参加、を呼びかけたり課題認識するPTAは多いですが、果たしてその思いは今の情報伝達方法で本当に伝わるのでしょうか? 父親を呼び込みたいなら、父親に直接情報が伝わる手段を持たなければなりません。
改革推進の当初から、もっとメールやWebなどITツールを活用できないか、と考えていたため、アンケートや事務局ディスカッションでその施策を打ち出しました。他地域・他学校では、Facebookやグループウェアなどを活用しているところもあるのですが、私たちは継続的かつ簡易的に活用できるITツールとして、メールシステムを利用することにしました。
PTAが保護者向けに発信できるメールシステムを使えれば、チラシ作成・配布の手間や費用を削減できるばかりか、発信頻度も高められ、そして今まで情報が届きにくかった父親にも直接届くことにより、父親の学校・地域参加を促すこともできます。
つまり、情報の流れは、言うまでもなく、次のようになります。
PTA事務局 → 母親&父親
しかし、既存のメールシステムはあくまで学校からの情報発信を目的としたものであり、PTAが使えるようなものではありませんでした。
そもそも、既存のメールシステムは、某教育委員会から提供(購入)されていたものらしいですが、基本的に学校からの緊急連絡にしか使えず、しかもメールの発信は学校の職員室の教頭先生の机の上のPCからしかできない!という、考えられないものでした。配信先の登録も、基本的には児童一人あたり1名と決まっており、それ以上登録するには費用がかかるため、その管理と費用回収に多くの手間がかかっていました。しかもそのシステムの費用をPTA会費から支出しており、会長としてはどうにも納得出来ない支出でした。
昨年の事務局会議以降、さまざまなメールシステムの代替案を探っていくうちに、同じ地区内で、より自由に使えるメールシステムを採用している学校がある、という情報を入手しました。そこで早速その業者を呼んで説明会を開いてもらったところ、PTAからの情報発信がスムーズで価格も安いということや、他校の評判も高いということが分かりましたので、その場で採用を決断しました。
今回導入する新メールシステムには、これまでのシステムと違い、次のような多くのメリットがあります。
・学校だけでなくPTAからの情報も発信できる
・学校のPCだけでなく、自宅のPCや携帯電話、スマホからでもメール配信ができる
・登録人数に制約がなく、児童一人当たり何人の保護者でも登録ができる
・どれだけの人数を登録しても、費用は固定、しかも前年度のものより年1万円安い!
校長先生や教頭先生、教務主任の先生方にもデモを見ていただき運用方法案を説明し、切替方針をご理解いただき、学校・PTAとして新システムに移行することを決定しました。
名目上、メールシステムは学校が主体で導入するということになっていましたので、学校のほうで保護者への案内を作成し新年度開始とともに配布してもらい、5月の運動会までに登録をしてもらう、という段取りとしました。
これまでもメールシステムを利用していたので大きな混乱はなかったものの、システムが異なるため携帯電話を保有する保護者は受信拒否設定のためにメールが届かない、ということがありました。これも、教務主任の先生へ窓口を一本化して、保護者には学校に来てもらって受信拒否設定を外してもらい、受信できるようにしてもらいました。メールが受け取れるようになるととても嬉しそうな保護者の顔を見ると、こちらも嬉しくなる、と言って対応してくれた教務主任の先生には本当に感謝です。
運用開始後1ヶ月が経ち、クラスや学年によって差はあるものの、学校全体の世帯数に対し1.3倍程度のメール登録数があるので、ざっくり言うと父親の登録数は約3割、ここにダイレクト・パスを打てるようになったのは大きいと思います。
PTAからのメールシステム運用ですが、さっそくボランティア募集の簡単な案内に使っています。せいぜい10行程度の情報ですが、これを紙で配布することを考えると、省力化の効果は大きいですし、メールなので削除しない限りは何度でも読み返すことが出来、ボランティア参加人数も増えるかもしれません。
また、先の東日本大震災のような災害が起き、学校を避難場所として使うような事態になったとき、おそらく体育館は開放されるものの校舎はクローズされるので、学校設備に依存したメールシステムではなく、携帯電話やスマホで情報発信ができるメールシステムでないと、いざというとき活用できません。そして、学校の状況や避難連絡など、誰がどのように地域へ連絡するか、と考えると、それぞれご自身のご家庭を持つ先生方ではなく、地域やPTAなどがその任を担うだろうと思います。いざというときに受け身ではなく主体的な対応ができるためにも、このようなシステムは必須だと思います。
メールシステムはあくまでツールですので、今後より効果的な運用方法を考えたり、既存の紙チラシをメールに置き換えるなどして、活用していく予定です。
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