ブログのアップが年を越してしまいました。m(_ _)m
2018年11月〜12月は、2週間おきに海老名・山梨・東大阪でPTA講演の予定が入りましたが、最後の第三弾、12月の研修は、大阪府東大阪市です。
今回も、青森同様に私のこのブログをきっかけに実施が決まりました。
2017年5月に、東大阪市のあるPTA会長さんが当ブログをご覧になり、PTA運営について直接メールにてご質問をいただいたのが最初のきっかけでした。その方は、人員の必要な学校・PTA行事に人手が集まらず、しかたなくPTAの委員数を増やして対応するなど苦慮されているようでしたので、ブログの内容と合わせて、そもそもの行事の数や行事のサービスレベル(PTAが実施する内容)の低減、ボランティア制度の見直し、おやじの会設立などをメールでアドバイスしました。
それから特にやりとりはなかったのですが、その後1年以上経った2018年8月に、またメールをいただきました。その方は東大阪市PTA協議会の役員になったので、市Pのイベントとして講演会を実施するので来てもらえないかというご依頼でした。なので、二つ返事でOKを出し、青森・山梨に続き3ヶ所目の県外研修の実施が実現することになりました。
当日は東大阪市の単位PTAの会長さんや役員さんが40名ほど聴講に来ていただきました。また、東大阪市で実施することをTwitterでつぶやいたところ、反応していただいた方が、まだお会いしたことは一度もなかったのですが、東大阪市住まいではないけど聞きたいとのことで、わざわざお越しいただきました。どうもありがとうございました。
ところで、今回頂戴した講演のテーマは、『次世代に繋げるPTA活動』。
なかなかに深いテーマです。
一般的には、PTA活動というのは昨年度の役員さん達が昨年度にやっていたことを今年度の役員さん達が今年度もやる・・・という前年踏襲型でバトンを渡していく、いや、渡していってしまう、というのがよくある話です。そういう意味では、幸か不幸か、放っておいてもPTA活動は前年踏襲で次世代に繋がってしまうものです。
しかしながら、PTAを取りまく外部環境は以前(少なくとも自分自身が子どもだった30年ほど前)に比べて大きく変わりました。
講演の中でもいつもお話していることですが、
- 画一的な価値観から、多様な価値観・生き方・働き方が認められる社会へ
- 共働き率の上昇
- ボランティア意欲の向上
- ネット、個人のITリテラシーの発展
- 個人情報保護法の改正(2017年5月)
- 先進的な教育委員会の動き(学校管理者への、正しいPTAのあり方の通知)
といったことがPTAの外側で起きています。
そしてこれらが、これまでのPTAのあり方を大きく変えようとしている、もしくは適正な方向に変えようとしています。
その最たるものが、個人情報保護法の改正から繋がる「任意加入の徹底」を始めとするPTA運営の遵法化です。さらには、ボランティア制度やIT活用による既存の組織体制や運営方法の見直しや効率化が並行して動いていきます。
『次世代に繋げるPTA活動』は、決して前年踏襲、地域のしがらみにがんじがらめにされた強制的・義務的な活動ではなく、今の時代・これからの時代の動きに沿った、遵法精神に則った効率的な組織運営や自主的な活動であるべき、です。
せっかく頂いたお題ですので、私はこのように解釈して、90分のプレゼンテーション+30分のQ&A、合計2時間立ちっぱなし・しゃべりっぱなしで講演を行いました。
今回はアンケートはありませんでしたが、講演終了後に参加いただいた会長さんの一人から握手を求められましたので、それなりに響いたのかなと思います。
講演終了後、主催者の方と私に、市P協の会長さん・大阪府P協の役員さんが合流して、打ち上げを実施していただきました。ありがとうございました。
日本一長い商店街として有名な天神橋筋商店街のお店で、独特の湯豆腐をいただきながら、新幹線の終電ぎりぎりまでPTA談義に花を咲かせました。日本全国、どこにいてもPTA改革にアツい人たちとの議論は盛り上がります!
最後に、2018年のPTA活動を通じた振り返りを。
すでに個人情報保護法の改正が行われて1年半が過ぎていますが、これにPTAや学校がどう対応しなければならないかの理解と準備がまだまだできていない、対応を怠ると保護者から会長さんが法的に訴えられるようなことが事実としてあることをまだまだ認識できていない、ひいてはPTAの遵法化や運営効率化について考える機会にも乏しい、といった状況は、同じ日本・同じPTAであっても地域によってかなり差がある、ということを今回を含む色々な地域で講演をしたりTwitterで様々な意見を見聞きすることを通じて強く感じました。
個人情報保護法の改正になるべく早く対応するよう改正前から規約を準備して共有している地域・PTAもあれば、現時点で全く準備が進んでいない地域・PTAもあります。今回の主催者の方もそうでしたが、いかに法対応の必要性を訴えても、PTA事務局も学校も全く状況理解と認識ができていない地域では、まっとうな認識のある方々(それは会長さんや役員さん、そして保護者だったりします)は孤立してしまいます。
遵法精神に則った運営を、と言うと、「うちの地域はうちの事情を勘案して対応する」というようなことをよく言われますが、これって地域ごとに違った対応がそもそも許されるものなのでしょうか?
個人情報保護法に対応した運営になっていなかったり、新年度のクラス懇親会で委員が決まるまで教室を出させない・委員になれない個人的理由を皆の前で説明させるといったあからさまな人権侵害を(そうだという認識もなく、または頭ではダメなことと分かっていながら)やっているPTAは、いわば、「赤信号でも信号無視してハイスピードでぶっ飛ばす法律違反の自動車」のようなものです。遵法精神の薄い会長さん・役員さん、地域や学校の関係者がその車に相乗りして、交差点を止まらずぶっ飛ばしているような状態です。
そして、PTAは任意加入団体であり、役員や委員を押し付けられるような人権侵害は許されないことであり、地元のPTAがそうであれば非加入を選ぶという保護者は、いわば、「青信号の横断歩道を堂々と歩こうとする通行人」です。
交差点で、信号無視をしてぶっ飛ばす自動車と、青信号で横断する通行人がぶつかったら、どうなりますか?
通行人がけがをする可能性が高い。つまり、保護者が被害を受ける可能性が高い。
どちらが悪いのか?
法に照らせば、自動車のほうが悪い。つまりPTAのほうが悪い。
それを、「この地域は赤信号でも突っ走っていいんだ」と主張しているのが、時代に沿っていない地域や学校やPTAということになります。
今は、「自動車は交通法規を守って赤信号は止まりましょう」なんて小学生でもわかることを、大人の集まりのPTAに対して言わなければならない状況や、今まで交通違反してきたんだからこれからも「この地域では」交通違反していいんじゃないかという地域や学校や保護者の無自覚・無責任をあえて指摘しなければならない状況です。
どうやって全国的にできるだけ短期間で正常化していくことができるのか?
今年の一つの光は、さいたま市や熊本市や大津市などの先進的な教育委員会による、学校関係者への「正しいPTAのあり方」の通知が始まったことです。
これは、PTAの適正化を進める上では、本当に強力な後押しになります。
しかし、適切に全ての学校関係者に通知され、学校関係者が正しく理解し、保護者に展開できればこそです。各校PTAへのさらなる徹底が必要でしょう。
自分にとってもとてもむずかしい課題を認識した2018年でした。
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2 comments for “コンサルタントのPTA改革(38):区P会長、東大阪で「次世代に繋げるPTA」を語る”