ビールのうまい、西洋のような街。青島(Qingdao)

(何度かの中国出張・滞在で得た多少の個人的な経験談を共有。皆さんの今後の中国旅行の際のご参考までに。当サイトの主目的とは関係ありません。経験談の目次はこちら。)

(この文章はもともと2008年初頃に書いていますので、ところどころ歴史を感じさせる表現が出てきます。ご了承ください。)
初めて中国大陸に渡ったのは2007年11月。日本企業ではなく中国企業がクライアントでした。クライアントの本拠地である青島が、初めての大陸でした。
 

青島自体は1900年頃、その昔ドイツの租借地だったこともあり、当時の欧州風の、茶色いレンガ屋根が特徴の建物が市街中心部にいくつも残っています。また、新築されているマンション群もそれを意識した欧州風のデザインがされているものが多く、中国ながら欧州にいるような雰囲気を感じます。また、青島は中国の中でも珍しく海の近くにある都市で(他には上海や大連くらいしかない)、夏でも最高気温30度までしか上がらない避暑地であり、市街地からの眺望がよく海産物も豊富、華北部・華南部それぞれの料理を出すレストランや西洋レストランも多々あります。つまり、中国の中ではとても住みやすい都市のひとつと言えます。
 

実際、海岸沿いの景色のいい通りには、きれいな別荘が多く立ち並んでおり、予算があるなら一軒買っておきたいくらいでした(3,000万円位するらしく、中国や香港の芸能人が買っているそうです)。また、8月の北京オリンピックの際はヨット競技の会場になっているということで、あちらこちらでホテルの新築・増築ラッシュでした。
 

つまり、青島は中国の中で長く滞在するにはベスト・プレイスだと言えます、ここまで聞けば。しかし残念ながら、今回真冬だったので、旧正月前は毎日マイナス5度くらいまで気温が下がり、東京をうらやましく思いました(ホテルは衛星放送でNHKが入るので、日本のニュースや朝の連ドラ「ちりとてちん」を毎日見ていました。NHKありがとう)。
 
また、青島と言ってもここは中国、やはり空気が悪いです。街中は工事中の場所が多いせいでいつも砂っぽいです。また毎日ホテルから40分ほどタクシーに乗ってクライアント先に行くのですが、タクシーもボロいのに乗ると車の隙間から外の排気ガスが中に入ってきます。それを吸うと、「あぁ、今悪い空気が肺の中に入ってきてるなぁ」というのが実感できます。
 
とはいえ、街中にはカルフールあり、ジャスコあり、マイカルありと買い物には不自由せず、店への移動もすべてタクシーを使えます。タクシーは市内移動ならせいぜい10元(150円)。初乗り700円の日本のタクシーに乗るのがばかばかしくなります。また、レストランでは中国の食品物価の安さを満喫できました。店にもよりますが、大衆的な店に行けば、ギョーザ10個入りせいろが一つ8元(120円)、大盛り牛肉あんかけご飯が10元(150円)、ラーメン一杯15元(225円)、とんかつ定食30元(450円)・・・とてつもない価格破壊が起きていました。
 
また冬場の名物と言えば火鍋。北モンゴル風、四川風の二大ルーツがあることも今回知りましたが、いたるところに火鍋のレストランがありました。火鍋は台湾で初めて食べてその辛さとうまさにとりこになり、東京でも銀座にある火鍋の店で一人5,000円位出して食べに行っていましたが、本場中国の火鍋はやはり違います。食べきれないほど肉や野菜を注文しても、せいぜい100元(1,500円)。一時は週に2、3回も火鍋を食べていました。
 
また青島と言えば、チンタオビール。おいしい水が取れることに加え、租借地時代にドイツからビール醸造技術が持ち込まれたことから、中国で初めてのビールが生まれたと言われています。どこのレストランに行ってもビールはチンタオです。普通のものだけでなく、ドラフト、金、黒、純生、と色々種類があり、ほぼ毎日飲んでいました。ちなみに青島には世界的に冷蔵庫で有名な家電メーカーがあります。ビールを造ったらやっぱり冷やして飲みたいよね、じゃあ冷蔵庫が要るよね、ということでそのメーカーが生まれて大きくなった、という嘘のような本当の話があります。
 
ちょうどそのころ日本では冷凍ギョーザの農薬混入問題が起きていて神経質な議論がされていましたが、「そんなの関係ねぇ!」とばかりに、中国の食を毎日満喫していました(というか、それを食べないと他に食べるものがないので)。
 
青島そのものは街として発展し始めたのは200年くらい前からで、高校時代に世界史で習った中国4000年の歴史を感じさせるものは何もありません。海辺から100メートル位先にある桟橋で結ばれた祠とか、租借地時代の灯台とか、ちょっと小高い山にあるうらさびれたテレビ塔とか(エッフェル塔・東京タワーと並ぶ世界の三大タワー、と紹介されていましたが、高さは200メートルほどしかないし、お客は数えるほどしかいない)。
 
高校時代、理系にも関わらず世界史が得意だった自分としては、中国にいるなら自腹を切ってでも歴史的な名所名跡を見なければ後で絶対に後悔する!と思い、それがこの後の各都市への一人旅につながっていくのでした。
 

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