PayPal取締役でありLinkedIn創業者でもある著者が、起業家だけでなく普通の人々にもスタートアップ企業のようなビヘイビアを持ち、キャリアを構築するためのノウハウを提供している本。あくまでキャリア構築の本であり、起業のための本ではない。さすがにLinkedInの創業者だけあって、人脈の構築・活用について独自の考え方を提供してくれる。相手への接し方など細かい部分は目新しいところはなかったが、シリコンバレーを中心にスタートアップ企業のような考え方でキャリアを築いてきた人々の事例が豊富で、刺激になる。
激動の現代、なりたい自分を明確に持ち、そこに向かって努力すれば達成できる、というようなキャリアプランはもはや成り立たなくなった。スタートアップ企業のように、状況を見ながら変化できる柔軟性が必要だ。この本で最も感銘を受けたのは、『自分の仕事人生を「永遠のベータ版」と位置づける』という教訓だ。何歳になろうと、どんなキャリアを積んでいようと、学び続ける姿勢、初日に戻る姿勢を忘れずにいたい。
【毎日復習したいポイント】
- 自分の仕事人生を「永遠のベータ版」と位置づける
- 変化の激しい時代への対応方法は、スタートアップの置かれた立場と同様であり、その発想を取り入れるべき
- 競争上の強みは、資産、大志、市場環境の相互作業によって決まり、これらをうまく組み合わせる必要がある
- 資産=今持っているもの。ハード資産とソフト資産(知識、情報、人脈、信頼関係、ブランド、技能等)。ソフト資産を自覚する方法は他人にとって難しくても自分には易しい課題に出会ったとき
- 大志=将来に向けてのとても強い願い、アイデア、目標、ビジョンなど。大志は内奥に潜むものでなく、生まれるものであり、時とともに進化していくもの
- 市場環境=取り巻く現実。顧客に必要と思われなければ利益に結びつかない。波に乗れる立場に身を置こう
【毎週復習したいポイント】
- スタートアップを助け合える人脈づくりが必要。「こうなりたい」と思う相手と付き合うのが自分を変える何よりの王道
- 結束力と多様性があるのが、仕事上で最も望ましい人脈。狭くて深い人脈=面識のない人物への広がりをもたらし、広くて浅い人脈=新しい情報をもたらす
- ソーシャル・ネットワークで3次の隔たり(友人の友人の友人)までは紹介者を通して自分の人脈に取り込める
- チャンスとの出会いを増やしたければ、できるだけ多くのグループや団体に属する
【ときどき復習したいポイント】
- ABZプランニングは、試行錯誤をよしとする順応性の高い手法。いつまでもプランニングと順応を続けていくべき
- プランAは現状、プランBは目標や手段が変わった時に採用するもの、プランZはいざというときの備え
- プランAでも常に資産増強や修正を繰り返すが、大きな変更が必要ならプランBを選択
- プランAからBへ切り替わる変曲点は予測できない、備えをすることが必要
- 最高のプランBは、いまやっていることと強く関係する、従来の分野に近いニッチ分野
- ソーシャル・ネットワーク上の情報を概念としてまとめ、吟味し、活用する術=「情報網リテラシー」を高める
- 自分が必要とする情報を人脈から得る方法は、1.特定の人だけに相談する、2.全員に一斉に質問する
- 特定の人だけに相談する場合は知り合いを、専門家、自分をよく知る人、切れ者に分類し、順に相談
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