コンサルタントのPTA改革(1):想定課題の仮説と検証

2013050601

入学式や運動会で挨拶するために、会長になったわけではない。
素直に一保護者として持っていた疑問(役員向けメールに記載)を、自分で解いてみたいと思ったからです。

PTAにしても通常の組織にしても、改革実行のためのアプローチはコンサルタントとしては変わらないと思います。
本質的な課題を発見し、それらを解決する施策を実行することです。
そこで課題を間違って捉え、間違った施策を実行しないよう、それらに必ず仮説と検証を加えることです。
今回、PTAを良くするためのアプローチは、簡単にまとめると以下の様な流れです。

1. 課題発見
1-1. 課題仮説の立案
1-2. 課題仮説の検証
2. 施策立案(実行)
2-1. 施策仮説の立案
2-2. 施策仮説の検証

 

会長就任してまだ2ヶ月ですが、改革をスピード感をもってやるために、まずは年度初めの校長先生との合意形成のための打合せを5月にセットし、それまでに少なくとも2-1. 施策仮説を立案するところまでは行こうと考えました。

なにせ自分が会長としてやれるのは二女が卒業するまでの3年しかありません。PTAは年間のサイクルに従って動く組織であり、チャレンジの回数も3回しかありません。その間に改革を実行し軌道に乗せ、誰が次に会長になっても回る組織にしておかねばなりません。そうすると、一年目:課題発見・改革施策立案、二年目:改革実行、三年目:改革施策改善・定着化、という大きなスケジュールで進めなければならず、いきおい一年目はやることが多くなります。

課題や施策の仮説立案は、大胆に想像力を働かせて作ります。仮説だからいいのです。突拍子もないものであってもOKです。これが現状をブレイクスルーすることもあります。どちらかと言うと右脳的です。
一方、仮説の検証は、緻密にやり、仮説が間違っていないかどうかを確認していきます。検証に必要な情報を地道に集めていきます。どちらかと言うと左脳的です。

それぞれのステップでは、立案や検証をするために、インプットが必要です。これは過去の経験だったりネットの情報だったりPTA役員からのヒアリングだったりします。そして、立案や検証の結果として、文章や絵にしてみます。これがアウトプットです。文章にしてみると、自分の考えも整理できるし、それをそのまま他の人に見せて、合意形成したり意見を求めたりしやすくなります。他の人にとっても、自分の考えを理解しやすくなります。

以上、一般的なアプローチですが、今回の取り組みにおいて自分がどうやってまずこの2ヶ月を進めたかを振り返ります。

 

1-1. 課題仮説の立案

長女が入学して小学校に関わるようになってから、8年が経ち、その間ずっとおやじの会メンバーとして、学校と関わりながら、PTAを横目で見ていました。誰かが手を挙げるまでじっと我慢のクラス委員選びや、年度をまたがると前任者からうまく引き継ぎができないなど、妻が委員になっていて色々話を聞いていたこともあり、非効率なことをやっているなぁという感想を持っていました。
一方、ボランティア精神を持って自主的に集まってきたメンバーでつくられているおやじの会は、さすがに社会に出ているお父さん達の集まりなので、物事が基本的に合理的に決まっていき、企画内容も文書化して翌年に引き継げるようにするなど効率的にやっていました。
おやじの会はPTAの下部組織ですが、漠然と、PTA自体がおやじの会化する、もしくはおやじの会がPTAの役割を持つ、もしくはボランティア精神にあふれた人たちだけでPTAを運営する、といったどちらかと言うと過激な理想像を当初(会長就任前)は持っていました。

<インプット>

  • これまでの一保護者(一会員)としての観察
  • おやじの会の一メンバーとしての観察

<アウトプット:主な課題仮説>

  • 誰もやりたくないのに、誰もやめられない(任意団体のはずだが自動加入)
  • 運悪く選ばれた人が、家庭を犠牲にして活動している
  • 前年同様の内容を前例踏襲で続けている

もしこれが事実なら、自分の責任でPTAをなくしてもいい、と思っていました。学校行事の支援は、都度ボランティアで集めるか、ボランティアで集まっているおやじの会で肩代わりするかしたほうが、健全ではないかと考えていました。

 

1-2. 課題仮説の検証

会長になって、前任者からの引き継ぎをやることになり、新旧役員の方々と会話することになりましたので、課題仮説を検証する目的で、色々お話を伺うことにしました。

また、学校の先生からも意見を聞ける(酒を飲める)機会があったので、学校側からPTAをどのように見ているか、課題はなんだろうかということをヒアリングしました。

これらを通じて、自分の仮説が色々間違っていたことや、新たな課題がありそうだということが分かってきました。

 

  • (仮説)誰もやりたくないのに、誰もやめられない(任意団体のはずだが自動加入)?
    • 自分で参加したいと言って手を上げてくる人もいる
    • いままで任意団体だということを言ってきた人はいない(PTAから言ったこともない)。この学区が全般的に恵まれているのかも
    • 運動会などでボランティアを呼びかけても、参加する人は少ない(これは自分の実体験からも同意)
  • (仮説)運悪く選ばれた人が、家庭を犠牲にして活動している?
    • PTA活動は子どもが学校にいる間にやるので、家庭や子どもへの支障は少ない
    • クラスごとの委員を選ぶ(うちの学校の場合はひとクラスあたり4名)ところで、担任の先生に負担がある。年度始めの懇談会で決まるまでやることもある(が、誰も手を挙げないで、根負けした人が最終的にやることになる)
    • 懇談会で決まらない場合は、担任の先生が保護者一人ひとりに電話をし、頼まなければならない
    • クラスごとの委員が決まった後の、常任委員会の正副委員長決めは、くじびきしていることもあり、比較的すぐ決まる
    • 前年度くじびきで正副委員長となってしまったが、PTA活動の面白さに目覚め、当年度役員をやっている人がいる(このようなサイクルが毎年起きているらしい)
    • 年度が終わると、やってよかった、という意見を皆が持つのだが、それが翌年度の募集の際に生かされていない
  • (仮説)前年同様の内容を前例踏襲で続けている?
    • 毎年少しずつ見直しをして、常任委員を5つから4つに減らした。見直していないわけではない
    • 校内活動は特に問題ない。むしろ区Pなどからの学校単位の動員が意味不明
    • 区Pの活動は、情報交換としては良いが、年間行事が最初から決まっているので、良い話を聞いても活動に反映されない
    • 区Pの活動がなくなれば、役員は3割くらい仕事が減る

 

通常の仕事もそうですが、実際に実務に関わっている人たちから話を聞くと、発見がとても多いです。改めて自分の考えを整理する必要がありました。

 

(任意参加について)

PTAが任意団体であり、入退会自由であるということは知っていました。ネットで色々調べてみると、大々的に入退会自由をうたって運営し始めたという学校もあることを知りました。そうすると参加率が下がって、組織として成り立たなくなるのではないか、という懸念がありますが、それでも参加率を9割以上でキープしている学校もあれば、いったん団体としてなくなったものの結局後から保護者会を作って親を集めている学校もあるようでした。

任意参加や入退会自由ということがPTA改革の一丁目一番地、という意見がネット上には多いようですが、一方で保護者の全員参加が望ましいという意見もあります。入退会自由というのは、自主参加の団体であることを明確にする手段であり、必要なことではありますが、それ以前に、地域の保護者に対して、子ども達をとりまく学校・地域に目を向け、活動に参加することの意義や面白さを啓蒙しておくことが、より重要ではないかと考えました。それには経験者の意見をもっと発信することが必要そうです。

 

(委員決定について)

本来、PTAと学校は別の団体であるのに、担任の先生方が、しかも年度初めに、保護者のところに電話をしまくらないといけない、という不要な負荷については、早急に回避しなければならない課題であると認識しました。上記の啓蒙活動も有効ですが、他の活動も何らか必要そうです。

 

(区P、市Pの活動について)

単校PTAの活動のうち、どのくらいが区Pや市Pの活動で、強制的な動員を求められるようなものか、単校PTAにフィードバックできないようなものがあるのか、については、通年の活動の中で見ていかないといけなさそうです。学校に聞いても区P、市Pの動きは全く見えていないようですし、他校PTA会長さんに聞いても、より上位層のPTAから受ける恩恵は少ないようでした。業務全般の中での優先度を下げたり、なるべく作業量をかけないなど、業務の見直しが必要そうです。他の学校では上位PTA組織を脱退しているところもあるそうなので、それも視野に入れて考えることになりそうです。

 

<インプット:課題仮説の検証用>

  • 新旧役員との会話(現行PTAの良い点、改善すべき点)
  • 教務主任との会話(学校側から見たPTA)
  • 他校会長との会話(区P、市Pの意義)

<アウトプット:現在のPTAの良い点、改善すべき点(検証された課題)>

  • 良い点
    • やってみると楽しい
      • 最初は強制でも、一年やると、楽しかったと思うようになる(そして役員までやるようになる)
      • 単Pや区Pで地域の知り合いができる
  • 改善すべき点
    • 楽しさや価値が保護者に理解されていない
      • 最初は義務的で、一年やってみないと楽しさがわからない
      • 多くの保護者にとっては、何をやっているか分からず価値が見えない(のではないか)
      • 多くの保護者にとっては、やらなくて済むなら関わりたくないものと思われている(ボランティア意識も希薄)
    • 委員としての参加が限定的・強制的
      • クラス委員選出が高学年になるほど困難、「逃げ得」的な状況、先生に負荷、逆に希望者が多くても選ばれない
      • 任意参加の団体であることを明示せず、いきなり希望委員から聞き出している(事情を知る人は丸付けしない)
    • 活動が前年踏襲、目的不明
      • 活動計画が前年踏襲で決まっているため、途中の変更がしにくい、区Pで情報共有しても計画変更がしにくい
      • 区Pからの動員依頼が多いが単Pのためになっているかどうか不明(なくなれば役員の活動の3割は減るらしい)

 

これらの課題を裏返せば施策なのですが、PTAという組織自体への理解・認識を保護者に理解してもらうためには、もう一度組織としてどうあるべきかをまず再定義しないといけません。そして、自分自身にも、ボランティア団体としてのPTAの目指す姿というイメージがあります。これを一度文書化した上で、情報発信する必要があります。そうでないと、「PTAは変わった」という印象を保護者や地域の方に持っていただくことができません。

目指す姿を明確にして、関係者と共有し、それぞれ協力してもらい、目指す姿を実現する - まずは文書化です。

 

(つづく)

 

 

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