コンサルタントのPTA改革(2):ビジョンとミッション | mycontribution.net

コンサルタントのPTA改革(2):ビジョンとミッション

2013051701

 

前回の投稿で、基本的な改革アプローチを示し、前半の課題発見までを記載しました。アプローチを振り返ると以下の様なものです。

1. 課題発見
1-1. 課題仮説の立案
1-2. 課題仮説の検証
2. 施策立案(実行)
2-1. 施策仮説の立案
2-2. 施策仮説の検証

また、良い点・改善すべき点は以下のとおりです。

  • 良い点
    • やってみると楽しい
  • 改善すべき点
    • 楽しさや価値が保護者に理解されていない
    • 委員としての参加が限定的・強制的
    • 活動が前年踏襲、目的不明

次に、どう変えていくべきか、という施策の検討に移っていきます。

そもそも、PTA活動が楽しいものであれば、楽しさを伝えるのは「伝え方」の問題になります。そしてそれが伝われば、活動に自発的に関わろうとする保護者は増えるでしょう。これは例えば、新しいアミューズメント施設を作った時にそこで得られる楽しさを宣伝することで、自分でお金を払って来る客を増やすことに似ています。

 

しかし、今やっているPTA活動は楽しいのでしょうか?また、時間を使ってやる価値があるものなのでしょうか?

 

PTA活動はすべてただ楽しい、と思われるものばかりではありません。遊びではありませんから。もちろん学校を使った遊びのイベントなど、ただ楽しいというものもあります。しかしその裏では必ず裏方の仕事(企画立案、部材調達、会場設定など)が存在します。他にも早朝からの交通安全誘導や、祭礼時の夜間パトロール、会計や書記、定例会議など、一つの組織としてやるべきことというのは一定量あります。PTA活動のうち「楽しいこと」だけを絞って伝えることはできますが、あとで現実を知ってがっかりされると逆効果です。

 

どうしたらいいのでしょうか?

 

そこで、自分が普段関わっているプロボノ活動やNPOの活動をアナロジー(類推)として考えてみます。それは、これらの活動が

  • 一つの組織として
  • 非営利で活動し
  • 参加者が無償で関わることがある

という点でNPOに類似しているからです。こういったアナロジーを使って得られる示唆から解決策を考えるのは、コンサルティングの現場でもよく行われることです。

さて、プロボノ活動というのは、個人が持つスキルを何らか無償で社会のために活かそうという活動です。実際にはNPO団体に対して無償でWeb制作やパンフレット作成などのプロジェクトを行う、という例が見られます。まったくの無償ですが、NPO団体のビジョンや活動に共感し、多くの社会人が余暇時間を使って参加しています。私自身も2つのプロジェクトに無償参加しました。

そしてNPO団体の活動は、社会的課題を解決しようというもので、必ずしも潤沢な資金を持って活動しているわけではないので、専任の職員だけでなく、ボランティアをつど集めて活動を進めているケースが多いです。NPO団体としては、自分達が取り組む社会的課題や実現したい姿、そして解決アプローチを多くの人々に認知してもらい、次に寄付やボランティア活動などいろいろな支援方法を提示して、ボランティアを集めるという方法を取っています。いかに社会的課題が解決すべきものなのかということ、そして様々な支援方法を用意しておくこと、が多くのボランティアを集めるポイントのようです。

 

これらボランティアをする側・集める側の例は、基本的にボランティアで成り立っているPTAへの保護者の参画を考える上で、非常に重要な示唆を与えるのではないでしょうか。

 

PTA自身が、まずPTAというものが存在する社会的背景や意味、目指す姿、実現したい姿を明確に示すことが第一にあり、次にそれにつながるさまざまなボランティア参加方法を常時提示する。保護者はPTAから示された背景や目指す姿を自ら理解し、団体の活動に賛同し、自らのできる範囲での参加方法を選択し、団体を通じて子ども達や学校や地域に貢献する。

 

NPOにならい、PTAにもこのような取り組みが必要ではないでしょうか。昔から連綿と続いていて、存在することが当たり前となっていて、改めて存在価値や意義を考えることを誰もしないまま、活動が引き継がれていき、活動している人だけがなんとなくそれを理解しているような団体では、単にボランティアを募集しても、それに無償で参加しようという人々を集めることは難しいでしょう。

 

そこで具体的な改革施策を考える前に、まずは自分達PTAの社会的背景や目指す姿を改めて書き下してみることにしました。企業の戦略立案でも必ず明確にする、いわゆる「ビジョン」と「ミッション」です。もちろんこれを役員のみんなで考えることもいいかと思いますが、まずは改革意思を持つPTA会長自身が自らの思いを書いてみて、広く発信していくことにしました。

 

【社会的背景(ビジョン)】

  • 子ども達は、学校だけでなく、その通学路、わくわくプラザ・こども文化センター・公園など、家と学校を取り巻く地域で生活する。また、家族だけでなく、友人、友人の家族、地域の人々など、多くの人々に囲まれて成長する。そして子どもの保護者は、子どもを取り巻く地域に共に生活している。
  • 社会には価値観やライフスタイルの多様性が高まっており、一方で社会貢献意識も高まっている。保護者である一般市民にとっても、現在さまざまな社会貢献・地域貢献の場が選択できる状況にある。この方向は、今後どんどん強まっていくであろう。

【PTAの目指す姿(ミッション)】

  • 保護者にとっては、学校や地域を知ることは、そこで成長する自分の子ども達のことをよりよく知ることであり、学校や地域の改善に貢献することは、自分の子ども達の成長環境を良くすることにつながる。
  • 保護者には現役世代はもちろん卒業後も何らかの形で子どもと学校・地域を良くしていける機会があり、学校・地域と保護者とが双方を良い意味で活用できていることが望ましい。
  • PTAは、上記の社会的背景の中で、本来の社会教育団体(ボランティア団体)として、保護者にとって子ども達の成長する学校・地域を良くする最良の機会を提供できている組織でありたい。

 

世の中にはいろんな意見があり、地域の背景も全く異なりますので、これがどこのPTAにでも通じるベストなもの、というつもりはありません。しかし自分は、保護者が子ども達や地域のために何かやれないかと思った時、まず第一に参加を考える組織としてPTAが頭に浮かんでほしいし、学校に最も近いPTAがそのようなニーズに対応できる組織であるべきである、と考えます。

 

次は、この目指す姿に基づいたとき、PTAという組織は具体的にどうあるべきなのか?をもっとブレイクダウンしてみます。

 
 

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