具体的な改革施策を考える前に、まず自分達のPTAの目指したい姿を書き下ろしてみることで、イメージを固め、そしてPTAはどういう組織であるべきか、というように考えてみました。
前回の投稿にあるように、まずPTAのビジョンとミッションは以下のとおりとしました。
【社会的背景(ビジョン)】
- 子ども達は、学校だけでなく、その通学路、わくわくプラザ・こども文化センター・公園など、家と学校を取り巻く地域で生活する。また、家族だけでなく、友人、友人の家族、地域の人々など、多くの人々に囲まれて成長する。そして子どもの保護者は、子どもを取り巻く地域に共に生活している。
- 社会には価値観やライフスタイルの多様性が高まっており、一方で社会貢献意識も高まっている。保護者である一般市民にとっても、現在さまざまな社会貢献・地域貢献の場が選択できる状況にある。この方向は、今後どんどん強まっていくであろう。
【PTAの目指す姿(ミッション)】
- 保護者にとっては、学校や地域を知ることは、そこで成長する自分の子ども達のことをよりよく知ることであり、学校や地域の改善に貢献することは、自分の子ども達の成長環境を良くすることにつながる。
- 保護者には現役世代はもちろん卒業後も何らかの形で子どもと学校・地域を良くしていける機会があり、学校・地域と保護者とが双方を良い意味で活用できていることが望ましい。
- PTAは、上記の社会的背景の中で、本来の社会教育団体(ボランティア団体)として、保護者にとって子ども達の成長する学校・地域を良くする最良の機会を提供できている組織でありたい。
次にこれを受けて、巷で色々言われているPTAへの「問いかけ」へ自問自答する形で、PTAの具体的な姿を検討してみました。
PTAは必要かどうか?
- なくなっても保護者自体は何も困らないだろう。ただし上記前提に照らすと、保護者同士が大規模に集まってボランティアできる組織は、あっていいと考える。
- 学校としては、学校だけではできない事をPTA(保護者)から支援を得ており、とても助かっている。
参加は任意であるべきか?
- ボランティア組織だから、任意であるべき。(文科省も優良PTA表彰の基準として任意加入が前提)
- ただし、自分の子どもが通う学校や地域のことを知り、その地域に住む住民として地域貢献できるよう、保護者の全員参加が望ましい。(本会員)
- 現役世代だけでなく、子どもが卒業した後も地域住民として子どもの生活環境改善に取り組めるよう、地域住民も参加できる道筋があることが望ましい。(賛助会員)
どんな活動をすべきか?
- 本来は、団体の目的と合致し、かつ以下の2つを原点とした活動が中心であるべき。
- 団体が支援対象とする学校や地域(学区)のニーズ
- 団体を構成する会員による自主的な提案
- 一方、区P・市Pなど上位のPTA組織からの指示・動員依頼が存在しており、意義と効果を評価して活動の継続是非や優先度を検討すべき。
どのような組織・会員体制であるべきか?
- 社会教育団体として存続するための必要最低限の事務局機能、運営委員会機能が必要。
- 現行の常任委員会(学級、校外、福祉、広報)を前提とした1クラス4名選出という方式は、活動内容の固定化と義務的意識(負荷分散)の考え方から生じていると考えられ、組織含めて見直しが必要。
- ボランティア組織という本来の意図からすれば、すべての活動がボランティア募集でまかなわれるべき。一方、これまで募集をかけても人が集まらなかったことから、学校・地域活動(=PTA活動)に対する理解・啓蒙・募集方法の見直しが必要。
- 強制的であるがゆえに、活動に携わることで面白さを知る、ということもある(現行役員)。その可能性は残したいが、できれば参加のハードルを下げることで多くの方が参加し、面白さを知り、積極的に活動するようになる状態を目指したい。
以上のような形で、自分たちの目指すべきPTAの方向性を示してみました。
まとめてみると、以下の4つのポイントで、今後のPTA改革を進めていく必要がありました。
- 学校・地域活動に対する、保護者への継続的な理解・啓蒙活動
- 「会員のためのPTA」という意識付けを行うための、年度初めの参加意思確認
- 現行業務の改善、優先度見直し
- 保護者・地域住民に対する、ボランティア活動の門戸開放・方法具体化・常時募集
では次にこれをどのようなマイルストーンとスケジュールで進めていくべきか?
年度初めの4月(これまでの内容をまとめた時期)からスタートし、最終的に学校や役員・委員との合意形成、会員全体への説明、既存の規約の具体的な改正、などを進めていき、最終的なマイルストーンは、翌年度の5月のPTA総会となります。それまでの間に、大きく言って以下の様なスケジュールを立てました。
- 4~6月:学校や役員からの意見収集
- 7~12月:検討委員会設置、会合・メール等で意見交換しながら運営方法等を検討。保護者アンケートも実施、方針の決定と会員への展開
- 1~4月:規約改定、翌年度の計画具体化
現在の社会的背景(ビジョン)、そこから考えられる自分が目指したいPTAのミッション、改革案の方向性とスケジュール、がまとまりました。
次にこれを具体的に進めていく上で、避けて通れないのは、校長先生との合意。校長先生は、PTA活動において一般的に最大のステークホルダー(利害関係者)であると言えます。
私は学校に連絡し、おそらく時間が取りやすいであろう5月の連休の合間、校長先生のスケジュールを1時間押さえました。