コンサルタントのPTA改革(36):区P会長、海老名で三位一体のPTA活性化を願う


秋は学校・PTAのイベントシーズン。そして講演会も各地で開催されています。今年は去年より多くお声をおかけいただいており、11〜12月で3本の講演を各地で行いますが、第一弾は神奈川県海老名市です。
 
今回のイベントは、海老名市の教育委員会が主催となった「家庭と地域の教育を考えるつどい」という講演会でした。こちらは毎年実施されているもので、近年はコミュニティ・スクールの話題が中心だったそうですが、個人情報保護法改正の取り扱いを市P連で検討している最中でもあり、PTA運営に関する内容をということで白羽の矢が立ちました。
 
今回珍しいのは、いつもはPTAの保護者役員さん達だけが対象なんですが、今回はそれに加えて市教委、教職員(校長と教務)、幼稚園・保育園関係者、社会教育団体、青少年関係団体、市民の方々と幅広い対象となっていました。なかなか学校の先生がPTAの講演を聞くというのはないんですよね。昨今の、先進的な教育委員会が学校管理者向けに「正しいPTA運営の手引き」を通達するようなポジティブな動きを踏まえ、ここはそういう最新事例も触れて、市教委や学校管理者にも気付きを提供しなければ!と、新しいチャートを用意して臨みました。
 
(ご参考:教育委員会から学校管理者への正しいPTA運営に向けた通達事例情報)
PTAの違法・強制から保護者を守る! 教育委員会のお助け「通知」を一挙公開
 
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90分のプレゼンののち、10分くらいで参加者の皆さんに隣や前後の参加者と自由に感想を述べあってもらい、ワイワイ意見交換する時間を作りました。これは、その後のQ&Aを出しやすくし、たくさん対話をしたいと思ったからです。結果としてたくさんのQ&A・意見交換をすることができました。
 
「任意加入を実施したら、入らない人が増えて、成り立たなくなるのでは?」というご質問。よくありますね。その場では、「もしやる人がいないなら、なくなっても仕方ない」と回答しました。その後のアンケートではそれに対して否定的なコメントをいただきました。いろいろ地域の諸事情や考え方がおありかと思いますので、そういう反応は想定内ですが、でも今そういう意見を持つ方は、PTAの意義を感じているでしょうし、辞めないでしょうし、より多くの人を惹きつけるために意義や楽しさを情報発信したり役員・委員の過剰な負担を減らす運営に変えたりできるはずです。ぜひそういう前向きな活動を通じて皆さんのPTAを保護者から「選ばれるPTA」にしていただきたい。
自分が地元で保護者アンケートをしたときは、「PTAは地域のために役立てる」「PTAのボランティアに参加したい」との回答が90%を超えました。保護者側にやりたい気持ちがあるということを信じ(またはアンケートで確認し)、その気持ちに強制でなく任意参加で真っ当に応えられるPTAに変えていただきたい。
そもそもPTAが任意加入団体なので、組織を成り立たせるために保護者を強制的に会員にするというのは矛盾する、そして遵法でない、ということをご理解いただきたいと思います。
 
若干ヒートアップしてしまったと反省したのは、「PTA退会者の子どもが、PTAが設定する登校班に入れなくなるのをどうしたらいいか?」というご質問。ちょうどこの講演の数日前から、岐阜県の某PTAで退会者のお子さんが地域の登校班から締め出されるという理不尽な事案がメディアで取り上げられていたこともあり、そういうことをここで起こしてはならない、公教育の場でそれをさせるのは教委や校長の問題である、と回答に熱が入ってしまいました。メディア記事や当事者のTwitterでの情報を読むにつけ、「その学校に通う全ての子どもたち」を対象としたPTAが、公教育の場で差別・区別をし、それをまた学校や教委が放置してきた酷い状況は許しがたいことです。日本全国でPTAを起点とした理不尽な事案はなくしてもらいたい、と切に願います。
 
(ご参考:PTAを退会したために子どもが被害を受けた事案)
PTAやめた代償は「登校班はずし」 子どもを巻き込む理不尽な現実〈AERA〉
PTA退会なら「餅つき大会参加ダメ」 非会員家庭の子ども排除の実態
 
最後にメッセージしたのは、ぜひ今回をきっかけに、海老名市で、保護者・学校管理者・市教委の三位一体によるPTAの活性化を進めてもらいたい、ということ。私は「PTA活性化=任意加入+運営効率化」と言っていますが、遵法で入退会自由・任意加入であることだけでなく、組織や業務の見直しによる運営効率化も並行して取り組み、この2つの歯車がうまく噛み合って回ることでPTAの活性化を目指そう、と考えています。今回はちょうど三者が同じ場で同じ話を聞いていただいていましたので、
市教委は学校管理者に「正しいPTA運営」を通達・徹底し、学校管理者は保護者に適切なPTA活動や運営を促し、そして保護者はそれらを後ろ盾にして世の中の動きを見て時代に沿った任意加入と運営効率化を自ら進める・・・ということで三者それぞれがやるべきことをやることで、「正しいPTA運営をする地域」になってほしいなと願います。
 
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講演終了後、早速アンケート結果をいただきましたので、一部を抜粋して転載します。ポジティブ意見もネガティブ意見も参考になります。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
 

  • 改革は多かれ少なかれ必要な部分はあるが、地域の事情・実情にも配慮しながら、ゆっくりと進めた方が良いのかなという印象をもちました。地域のPTAという側面もあるので。
  • 現在、改革に向けPTAアンケートを実施、回収し意見を取りまとめているところです。大変、参考になりました。
  • 任意加入や負担感の問題など、長年疑問に感じていたことがクリアになって良かったです。貴重なご講演、ありがとうございました。
  • PTA加入に強制感が強く、出来ない方がなってしまってたけど、悪循環でしかありませんでした。無理なくPTAの在り方をみんながしっかり理解できるよう、講演で感じたことをしっかり伝えていこうと思いました。動員で呼ばれましたが、来て良かったです。貴重なお話、ありがとうございました!!
  • 体制を変えていけるのは、理想だと思いますが、手をあげてくれる方があらわれるのは、なかなか難しいかと・・・
  • PTAは、権利であってボランティア団体だと分かった。ストンとふにおちたお話でした。来て良かったです。ありがとうございました。
  • 指名委員を選ばないとの講演でしたが、次年度の役員を本部さんや現役員が声をかけていったら、現役員さんの負担になるのではと思いました。もう少し説明をお聞きしたいと思いました。保護者用のメールがあると便利だと感じています。
  • 貴重な、ご講演有難うございました。自分自身も意識を変える必要があると思いました。すぐには変えられなくても、少しずつ変えれば良いかもしれません。気付きの場となりました。
  • PTA活動の必要性を訴えながら、やる気のない・気持ちのない方にはやってもらわなくて良いという様な、たちゆかなくなったらそんなPTAはなくした方が良いという様な表現に、それはちがうと思う。
  • PTA活動をもっと情報発信し、その魅力を多くの方に知ってもらった方が良いのだなと思った。いずれ「PTAが無くなるのも仕方がない」との意見もありましたが、果たしてそれで良いのかと疑問が残りました。
  • 貴重な講演をありがとうございました。PTA活動の意義やメリットを保護者に伝えていくことが大事なのかな、と感じましたが、PTAのイメージを変える事の大変さも感じます。
  • 多くの課題、問題を提起していただいたと思います。自分の考え方を見直すこともできました。ありがとうございました!!
  • PTAの運営の効率化から始めて、PTA活動のこれまでの負担感をなくしてから任意加入を進めていかないと会員数は、どっと減るのではないかと思います。その地域の保護者の特徴・考え方でやり方を考えていかなくてはならないと思いました。
  • 全体的に意義深いものであった。任意加入問題への対応として、活性化へ引き続き取り組みを行いたい。

 
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