タイムスリップできそうな、幻想的な街。杭州(Hangzhou)

(何度かの中国出張・滞在で得た多少の個人的な経験談を共有。皆さんの今後の中国旅行の際のご参考までに。当サイトの主目的とは関係ありません。経験談の目次はこちら。)

(この文章はもともと2008年初頃に書いていますので、ところどころ歴史を感じさせる表現が出てきます。ご了承ください。)
仕事が終わったあとのホテルの部屋では、次にどこに行くかをガイドブック片手に考えるのがひとつの楽しみになっていました。幸い青島は華北と華南の中間地点に位置し、北京へも上海へも1時間程度のフライトで行けます。しかし上海は一緒に仕事をしている上海在住の中国人の同僚によれば、やはり新しい街ということで歴史的な深さはなく、日本人にはあまりおもしろくないのではないか、とのこと。そこで、より中国らしさを感じられる場所へ、ということで杭州を選びました。
 
杭州は南宋時代の首都であり、当時ここを訪れたマルコ・ポーロは「世界で最も華やかな都市」と表現したそうです。その理由は市街地中心に静かな水面をたたえる西湖にあります。有名な詩人の白居易や蘇軾は、西湖にたたずみ詩を詠んだと言われています。ちょうどプロジェクトが中間地点に差し掛かり、精神的に安らぎを求めていた自分には最適の場所でした。土曜の朝イチの便で、一泊二日で行くことにしました。
 
ちょうど滞在したホテルは西湖のほとりにあり、西湖には5分程で歩いていくことができました。あいにく小雨が降り湖面にはガスがかかっていて視界が悪かったのですが、結果的にはそれが古代の中国らしい景色を演出してくれました。
 
西湖は不思議な湖です。一周15kmくらいの湖ですが、その中心に小さな島があります。湖畔から船で15分ほどでその島に渡ると、その島の中に湖があり、さらにその湖の中に小島があるのです。小島から島の四方に歩道がかかっていて、ちょうど島が「田」の形になり、湖が4つに分かれています。島の端々には昔の人が座って談話をしていたであろう小さな建物が散在しており、湖にはもやがかかり、訪れる人も少なくとても静かで、まさに世間の喧騒から切り離され古代の中国へタイムスリップしてしまったかのような感覚にとらわれました。湖畔にたたずむ喫茶房で、そんな湖を眺めながら珈琲をすすり、古代の詩人のように一人静かに物思いにふけっていました。

 
夕食は、中国人の同僚から事前に聞いていた、杭州で最も有名な楼外楼(ロウガイロウ)というレストランに行きました。このレストランもホテルから徒歩10分ほどで行けたのでラッキーでした。そこでは、杭州名物「東坡肉(トンポウロウ)」(豚の角煮込み)、「龍井蝦仁(ロンジンシャレン)」(湖の小エビの龍井茶葉炒め)、「杭州ラーメン」をいただきました。一般的に中国料理の一皿分は数人で食べることを前提にしていて、一人で食べられる量ではないですが、どれもとても美味く、結局すべてたいらげました。
 
市街地から5分も歩けばそんな浮世離れした西湖があり、時間を忘れて物思いにふけることができる・・・杭州という街、そして西湖をとても気に入りました。もし中国に住むなら間違いなく杭州です。今回の旅は非常に印象的な旅となりました。
 

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