下小おやじの会で、結成以来の念願であった、『小学校でのお泊まり会』が、いよいよ実現しそうだ。
子ども達にとって、自分がいつも通っている学校の夜の姿を見ることはほとんどないだろうし、ましてやそこに泊まるということもめったにないだろう。それだけでも稀有な経験だ。そして全国で学校でのお泊まり会やキャンプをやっているおやじの会はいくらでもある。しかしだからといってどこの学校でもすぐにできるわけではない。地元と学校との関係や、過去の経緯、学校の規模や、立地環境などで、条件が異なる。
下小は全校生徒900人以上、住宅街のどまんなかにある小学校だ。そして設立以来40年、おそらく学校でお泊り会というのはやったことがない(と聞いている)。これまで、やりたいやりたいと言ってはきたが、言っているだけで実現はしなかった。
今年自分がおやじの会の代表になって、校長先生もおやじの会の活動に理解のある先生にちょうど変わって、今年は仕掛けるには最適な年だ。だから今年度の最初から校長先生とおやじの会で話す時間を持ち(自分だけでなくPTA役員となったおやじの会メンバーも)、下地を整えてきた。
3.11の経験、地元での避難訓練、他校おやじの会の情報も集めて検討した結果、周りを納得させるには、単なるお祭りではなく、最初は被災訓練のような位置づけでやると提案していくことにした。実際のところ、おやじの会メンバーに限らず普通の親たちは、3.11のように大災害が起きて被災したときに、学校にどんな設備があり、どう使えるのか、実際に体育館で寝るとなったらどんな問題が起きるのか、知らないし想像もできないはずだ。
だから、非常用設備の場所の確認や仮設トイレの設置、発電機の操作、非常用食料(アルファ米)での夕食作り、体育館での寝泊まりを実際にやってみることとした。
また、就寝前に親子で、被災したときにどうすればよいか各家庭でのルールを話し合ってもらうことにした。
実に有意義な被災・宿泊訓練だ、と自分達で自画自賛(笑)。
そして夏休みが終わった後に校長室を訪ね、被災・宿泊体験としてぜひやりたい、と提案した。
校長先生からは、意外とあっさり許可をもらった。僕は思わずガッツポーズ。
これでもう、あとはやるだけ、と思っていた。
しかし、まだまだ甘かった。そこからが大変だった。
学校としては、近隣住民への理解を得ることがかかせない。だから、おやじの会として学区の町会長に合意をとってほしい、という要望が出された。
おやじの会としてはこれまで町会長への合意を取らないといけないような企画は、やったことがない。これまでは学校の先生がいる時間帯で、学校の敷地内でやる企画ばかり。今回は先生も帰ってしまう夜に一泊するような企画だ。そして自分には町会長との面識が全くなかった。
しかしここで、おやじの会メンバーに助けられた。地元で開業しているメンバーのツテで、学区の町会のうち最も力のある町会長さんとすぐに会うことができた(というか、なぜかどこからか、被災訓練をするということを聞きつけ、メンバー経由で何か協力したいと言ってきたから、その情報網には恐れ入る)。
今回の企画を、ただの遊びではなく、被災訓練という意味合いをもたせたことがここで効いた。町会長さんとしても地元での被災時の対応について考えたり訓練したりしてきたので、おやじの会の今回の企画に全面支援してくれた。自分達が気づかない視点や持っていない情報をいろいろ提供してくれたり、他の町会長や区役所への連絡をしてくれたり、と地元に向けた根回しが想定よりもかなり早く、一気に進んだ。
その結果、校長先生に許可を得てガッツポーズしてからたった一週間で、周辺の8つの町会、区役所、施設開放委員会、警察、消防の全てから企画についての了解を取ることができた! これは自分としては信じられないスピードだった。
つくづく、今回改めて、「学校の枠を超えて地元で何かやることの大変さ」と「地元の協力の重要さ」がよく分かった。感謝。
いずれにしても下ネゴはすべて終了。あと残り1ヶ月、企画内容実現に向けた細かい準備をキッチリ進めていこう。
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