コンサルタントのPTA改革(15):PTAアンケート、再び


 
こちらもお読みください → コンサルタントのPTA改革(18):チャートでわかる!PTA保護者アンケートの作り方
 
 
PTA会長就任1年目は、PTA改革の仮説立案やアンケートを通じた改革施策の立案。
2年目は、改革施策の実行。
これまでの施策実施の結果を間接的に聞いてきて、施策が有効に機能しているようであることは分かっていました。
そして3年目に入るにあたり、やはりどうしても、前回同様、保護者の声を直接的に聞いてみたい!と思いました。
 
年度末の2月、2回めのPTAアンケートを実施することにしました。

前回のアンケートは、保護者がPTAをどう考えているか、改革施策の仮説が有効か、ということが目的でしたが、今回のアンケートは、実際に実施した改革施策(委員選定時のくじ引き・我慢比べ廃止子どもサポート活動メールシステム導入など)がどのように評価されているか、ということを主目的とします。
 
アンケートは大きくは2章に分けました。
第1章では前回同様、保護者の意識調査として、お子さんの最高学年、地域の環境改善に取り組みたいか、PTAは役に立つ団体になれるか、という前回と全く同じ質問をしました。これはあとで前回との比較を行うためです。
第2章では、実施した数々の施策を並べ、それらに対しての評価を
『とてもよかった』
『まあよかった』
『あまりよくなかった』
『全くよくなかった』
『わからない』
の5つの選択肢を示してそこから選択してもらうような形式としました。また、特に意見を言いたい施策があればそれについて自由に書いてもらう記述欄、PTA全般についても意見を書いてもらう記述欄を設け、なるべく保護者自身の声を聞けるような工夫をしました。
A3用紙の左がアンケートの主旨、右が回答用紙、という前回同様のレイアウトで、全世帯に配付しました。
 
 
そして回答の回収。
 
 
2週間という短い回答期間だったのと、質問項目が多くて回答用紙が少々ビジーになってしまい、回答する気があまりしなかったのかもしれません。回収率は前回の5割超に対し、49%と半数に少し届きませんでした。しかし400近い多くの世帯の方々からたくさんのご意見をいただくことができました。
 
第1章の意識調査では、少々意外な結果が出ました。
学校や地域の環境改善に取り組みたいと考えている方の割合、そのためにPTAが役に立つ団体になれるとい考えている方の割合は、それぞれ前回同様95%以上はあるのですが、若干その数字が前回よりも今回のほうが下がっていました。
同様に、PTAの役員・委員を今後やってみたいと思う方の割合と、ボランティアを今後やってみたいと思う方の割合も、前回よりも数字を落としていました。
このような意識調査は、過去にやったことがなく、これが傾向なのか(世代ごとにどんどん地域貢献意欲が減っていっているのか)、それとも今回だけ出てきた特異な結果なのか、判断しかねますが、注意が必要かもしれません。
 
第2章の施策評価では、おおむね良好な回答が返ってきました。
一番最初に実施し効果のあった、委員決定の際のくじ引き・我慢比べをなくす施策は、全体の約8割近い方から肯定的な評価をいただきました。全体のうち20%ほどが「わからない・無回答」でしたので、それを差し引くと、施策を理解している方のほとんどが肯定的にとらえてくださっている、ということになります。
 
また、これまで役員・委員に負荷が偏っていた活動を学年別に振り分けて全員参加を目指す「子どもサポート活動」施策や、PTAも配信できるメールシステム導入施策も、同様に回答の8割が肯定的でした。
一方、PTA役員組織の委員数削減や、PTAに意見を直接言える目安箱設置など、地味でなかなか一般の方にはわかりづらい施策は、4~5割が肯定的であったものの、わからないと答えた方も同様の割合がおり、宣伝不足と言えるでしょう。
 
今回設けた自由記述欄のご意見は、ためになり、耳が痛く、そして勇気づけられるコメントが多く寄せられました。今回は全部で500以上のコメントが寄せられ、すべてに目を通しました。そのうちからいくつかを抜粋してみます。
 
 
くじ引き廃止・前年度委員決定へのご意見

  • 各クラスではなく各学年にした事で、知り合いと誘い合って委員ができるようになって良かったと思う。
  • 委員長としての参加は無理と考えなくて済むので参加しやすくなります。
  • くじ引きで正委員長を引いてしまった身としては、もっと前からこのしくみを導入してほしかったです・・・。
  • 出席した人が損するのは変わっていない。

 
 
子どもサポート活動へのご意見

  • 作業をしながら情報交換の場となり、小学校での様子や他クラス、他学年の情報が得られ良かった。(1年)
  • 楽しくできたし、委員の方の活動を見られて良かったです。普段どんな活動をされてるかわかりづらいので。(2年)
  • 2年生までは制度が異なり無理をして委員を務めたが、3年生から全員参加となり不公平感を感じる。委員経験者は免除する制度が必要と思います。(3年)
  • 1年に1回くらいは、全く苦にならない。皆でやっているという感じで、とてもいいと思います。(4年)
  • 少しずつ全員が参加することは周辺の環境など子どもを取り巻く状況など興味をもつきっかけになって良いと思う。(5年)
  • PTA役員となると肩の荷が重い(就業しているため)が、こういう形でなら出来る限り参加したいし、参加できる率が高くなる。(6年)

 
 
PTA全般へのご意見

  • 必ず全員一度は役員をしなければならない、という強制性がなく、自発的に参加するというスタイルがとてもいいと思います。(1年)
  • いろいろな点を良くなるように改善する努力をされているので、PTAが身近になった気がします。(2年)
  • 今の形になってからは、より積極的にかかわれることが苦にならないし、自分のやれることをやることができる。(3年)
  • PTA活動に関わる”関わり方”が選べるようになり、ありがたく思っています。自分のできるかぎりの活動を今後もしていきたいと思います。(4年)
  • ボランティアもポイント制などにカウントして、役員履歴に含めて欲しい。(5年)
  • 役員を一度引き受けたら、次年度以降、サポート活動は免除してほしい。(6年)

 
 
好評価な意見だけでなくいくつかそうでない意見も織り交ぜてピックアップしてみましたが、ほとんどが好評価な意見で、改革施策を実施する側としては、方向性は間違っていなかった、あとは細かい改善を進めていこうという勇気をいただけました。
未だに、ポイント制や活動免除などを言われる保護者の方もおられますが、今回のPTA改革は、PTAに関わることが、『保護者にとって今しかできない機会・権利』ととらえなおし、ポイント制を否定することから始まっていますので、申し訳ありませんが対応することはできません。あしからずです。
 
意見を読んでいると、もしかするとPTAの活動が、委員の仕事なのか、ボランティアの仕事なのかといった区別がなく、かしこまってやるのではなくみんなが気楽に楽しくやること、という意識に変わっているのかもしれません。第1章の数値が下がっている一方で上記のような好意的な意見が多いのはそのためかもしれません。
 
PTAがやっていることが、『PTAの役員仕事』『PTAの委員仕事』『PTAのボランティア』という、やや形式張っためんどくさそうな活動のように皆から受け止められるのではなく、自分達が住む地域・子ども達が通う学校・取り巻く環境をよくするために、できることをできる範囲で楽しくやるチャンスを提供することだ、というふうに変わっていけば、まさしく活動の『主語』が『PTA』から『自分達』に変わっていけば、きっとその地域や学校の環境はよりいっそう良くなっていくことでしょう。
 
 
こちらもお読みください → コンサルタントのPTA改革(18):チャートでわかる!PTA保護者アンケートの作り方
 
 
   

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください