コンサルタントのPTA改革(31):チャートでわかる!個人情報保護と加入意思確認、そしてPTAのあるべき姿を考える | mycontribution.net

コンサルタントのPTA改革(31):チャートでわかる!個人情報保護と加入意思確認、そしてPTAのあるべき姿を考える

チャートでわかる!シリーズの第五回目は、全てのPTAで対策が必要となっている、個人情報保護法対応と、それに伴い直面している最大の課題、加入意思確認です。内容が内容だけに、長文です。
最初に言っておくと、残念ながら私が会長をやっていた時期はまだ個人情報保護法の改正前で、かつ加入意思確認の問題について取り組めませんでした。しかし、現在立場上単位PTAの活性化の支援や講演をやっている関係で、この2つの問題は常に頭の中にあり、せめて自分と接点のあるPTAにこの問題をうまく解決してほしい、まっとうなPTAにソフトランディングできるような解決策を示したい、と思っています。
(本文中に適切でない箇所とか補足とかありましたら、ぜひコメント等で教えて欲しいです。ブラッシュアップしていきたいので。)
 
1.そもそも、あるべき姿とは何か?
2.あるべき姿に向かうためにまず考えること
3.任意加入明確化で起きるであろう課題と対策案
4.最後に:PTAは、保護者に何を訴えるべきなのか?
 

1.そもそも、あるべき姿とは何か?


 
2017年5月30日に、改正個人情報保護法が施行されました。これにより、PTAも個人情報保護法の対象になり、PTAが保有している会員の個人情報は法にのっとって適切に管理しなければならなくなりました。すでに多くのPTAがこの法改正に対応して、個人情報保護規則の制定や、情報取得時の利用目的の明示などを行っているものと思います。
 
※改正個人情報保護法への単位PTAの対応方法については、横浜市PTA連絡協議会の情報提供、などが役に立ちますので、ご確認ください。このブログでは法改正対応そのものについては各種サイトにおまかせします。
 
個人情報保護法対応自体は、比較的簡単な話で、例えば上の横浜市PTAのサイトでも上がっているようなサンプルを使って、各校なりの規則を策定し必要に応じ承認を得れば、少なくとも管理体制自体は明確になり、法対応自体は完了です。
 
問題は、『個人情報をどのように入手するのか』であり、ここにPTAの昔からの課題である『加入意思確認』『任意加入』がからんでくることです。
 
個人情報保護と加入意思確認の問題について、ちょっとチャートで整理してみました。
PTAChart_0501
 
一般的な個人情報、ここでは会員となる保護者の情報となりますが、その扱いの流れとしては、チャートの横軸に『情報入手・管理・廃棄の流れ』と表しましたように、大きくは
①入会意思の確認
②個人情報の入手
③個人情報の管理
④退会意思の確認(個人情報の廃棄)
というようなステップになるかと思います。
 
これらにどれだけまっとうに対応しているか、ということが問題であり、その対応状況により、よくあるケースとして大きく4つくらいのレベルに分けられるのではないかと思われます。それを縦軸に『対応レベル』として表しました。
 
まず最初に、あるべき姿とはどういうものか、というのを記述してみます。
 
Level 4:あるべき姿
PTAも学校とは独立した、ボランティア団体の一つですので、団体に入るかどうかの意思確認がまず最初にあり、入会者の個人情報を適法に入手し、適法に管理する規約が定められ、退会するときには明確な手順が定まっていて個人情報も削除される・・・という、団体として当たり前の仕組みを持っている必要があります。だから、あるべき仕組みというのは、当たり前で、誰でも分かる、簡単なものです。
入会届で入会意思を確認する、入会希望の保護者から直接情報を入手する、入手した情報を個人情報保護法に基づく規則で管理する、退会届で退会意思に基づき退会処理・個人情報の削除をする、この4つです。
 
しかしながら、ほとんどのPTAが、残念ながら当たり前の仕組みを持っておらず、ここから述べる Level 1から3 のいずれかにとどまっているものと思われます。
 
Level 1:過去の多くのPTA
数年前までは、多くのPTAには入会意思確認も個人情報保護対応もなかったかと思います。PTAの活動に際しどのように個人情報=保護者情報を入手していたかというと、例えば年度初めに『保護者カード』なるものを配り、どの委員をやりたいか(入会意思ではない)を記入させるものを配っていたり、学校から名簿を融通してもらったりして、全保護者(繰り返しますが、入会意思の取れた会員情報ではない)の情報を得たりしていたと思います。
加入意思確認があいまいなまま、全保護者の情報をあいまいに管理し使用していたのが通例でした。この背景には、「PTAは全保護者が無条件で加入するもの」という昔からの前提のような考え方があったと思います。
PTAは任意加入、ということを知って、PTAを退会したいという保護者に対しては、当然ながら退会届の提出など退会のルールはありませんので、校長やPTA会長との会話の結果、退会をしていただく、という個別対応をしているところがほとんどかと思います。
 
Level 2:個人情報保護対応
改正個人情報保護法により、全てのPTAに求められることになったのは、このレベルです。個人情報の管理方法について、規約で明確化するということです。これ自体は、先に述べたように対応方法は簡単で、管理規則を作るだけならすぐできます。できることなら個人情報保護について会員の皆さんに安心してもらうために、PTA規約に管理規約がある旨を修正し、臨時総会または書面での総会を開き、承認してPTA規約を改正するのがよいでしょう。
しかし、あくまで情報の管理規約を制定しただけですので、個人情報の入手方法や、入退会方法については、まだまだあいまい・あやしいところがあるのがこのレベルです。
慣例として、学校からPTAに保護者の情報が流れているところが多いと思います。しかし、学校が、管理する個人情報をPTAを含む学校以外の組織に無断で渡すことは、各地域での個人情報保護条例の違反となります。学校は、個人情報保護法の対象外ではありますが、個人情報保護条例の対象になるので、同じように個人情報を適切に管理することが求められるのです。だから、なんとなく慣例で学校が情報を流す・PTAが受け取るという行為は、少なくとも条例違反です。
 
Level 3:個人情報入手対応
本来はここで一気にLevel4 あるべき姿まで行くべきなのですが、まず個人情報の入手ルートの明確化を行っているPTAもあります。
PTAから見た個人情報の入手方法は2通りあります。一つ目の方法は、はPTA自身が個人情報を取得する方法で、例えば年度初めに保護者カードを配付して、必要事項を記入してもらい、回収する方法です。このとき、保護者カードには、この情報をPTAの活動のためだけに利用する旨を明記します。ただし、ここではまだPTAへの入会・非入会の意思を確認しているわけではありません。提出しないことでしか、入会しない意思を示す方法がありません。
もう一つ目の方法は、学校とPTAで個人情報を「共同利用」する方法です。学校が個人情報を取得する際、この情報をPTAとも共同利用する旨を明示した上で取得し、その情報をPTAと共有します。これは、学校側での対応が必要となります。
時折、学校がすでに個人情報を取得している状態で、その後の学校からのお便り等で、個人情報をPTAに提供することを記載することで、対応したとする学校があるようですが、これはNGです。あくまで取得時に保護者の承諾を得る必要があります。
Level 2のPTAに比べれば、PTAが持っている情報の出処がはっきりしているのは良いですが、やはりそもそも入会意思を明確に示していないのにPTAが情報を持つことについて、釈然としません。チャートにも、Level 3とLevel 4の間に太線を入れましたが、ここに『加入意思確認』の課題が横たわり、あるべき姿への移行を阻んでいるように思います。
 
個人情報保護法に対応すると、個人情報を管理するという話から、個人情報を入手するという話につながり、入会意思確認につながり、任意加入の話に行き着く、ということになります。
 
ということで、個人情報保護対応と加入意思確認について整理してきましたが、次に、PTAはどうやって『あるべき姿』を実現していけばよいのか、を考えていきます。単なる制度整備だけを考えると、思わぬ落とし穴があります。
 
 

2.あるべき姿に向かうためにまず考えること


 
本題に入る前に、私が出会ったあるPTAの話をします。
 
そのPTAでは、数年前に、新任のPTA会長が「PTAは任意加入が原則だ」ということで、入会届を作成し、新年度に配付しました。入会届には、「入会します」「入会しません」の2つの選択肢を示しました。結果どうなったかというと、入会しない保護者が一気に増え、加入率がガクンと下がってしまいました。翌年度から、入会届の記述を工夫したことで、加入率は持ち直したものの、現役役員は「いかにPTAが楽しいものかをアピールするのが大変」な状況にあります・・・。
 
PTAを一般的な通常のボランティア団体とするため、これまでの自動加入から、入会届を使った任意加入の徹底を行うことは良いのですが、そもそも現在のPTAが、「さぁ入ってください」と声をかけて、皆が入ってくれるような、入って意味のある団体なんでしょうか?というところを、任意加入徹底と合わせて今一度振り返っておく必要があります。入ったらメリットがある、やりたいことがやれる、活動の意義を感じられる、という団体でなければ、PTAであろうがボランティア団体であろうが同好会であろうが有料のスポーツクラブであろうが、なんだって参加者は呼び込めないのです。
 
そう考えると、PTA改革における2つの重要なテーマ、『任意加入徹底』と、このブログの過去の投稿で説明してきたPTA活動の『活性化徹底』は、車の両輪で回していくのがベストであると思います。
PTAChart_0505
 
(D)どちらにも手を付けないで旧態依然、前年踏襲、で続けようとするPTAは、活動への義務感や強制感が残り続け、いずれは活動が停滞していきます。
(C)任意加入というお題目だけで入会届等の制度を先行させると、確かにまっとうなんですが、PTAの活動意義や入るメリットが伝えられなかったり入ってからも非効率な運営でムリがあると、参加してくれる保護者が減っていきます。
(B)活動活性化の推進は、PTAの活動意義を明確にし、活動を効率化し、参加しやすくすることで大きな効果が得られます。しかしさらにここにもう一歩、任意加入の明確化を含めないと、個人情報入手の問題が温存されたままになります。
 
理想としては、(A)任意加入徹底と活動活性化の2つの活動を意識して、両輪がうまく噛み合うことで、参加したいPTA・任意加入のPTAが実現し、理想的かつ一般的なボランティア団体としてのPTAへ、ソフトランディングできると思います。順序としては、やはり活動活性化、いまのPTA運営を改善していく(当ブログの過去の投稿での取り組み等)があって、いつ入会届を配付しても、多くの保護者が参加してくれるであろうPTAになっていることが優先で、そしてどこかのタイミングで入会届による加入意思確認の導入、というのがよいでしょう。
 
 

3.任意加入明確化で起きるであろう課題と対策案


 
さて、任意加入の明確化、入会届による加入意思確認を取り入れることで、想定される課題があります。それは、そもそも多くの保護者が入会してくれるのか、また、非入会の保護者やその子どもたちをどう扱うのか、ということです。
特に、非入会の保護者やその子どもたちへの対応というのは、一歩間違うとPTAの存在意義を踏み外してしまうことになりかねません。
PTAが、子どもたちや周辺地域環境・学校の改善や貢献を行うボランティア団体であり、入会意思確認をした保護者らの団体であるなら、活動の対象は、保護者が入会しているかどうかに関わらずその学校の子どもたち全員であり、活動を行うのは入会意思を示した会員のみであるはずです。
なのに、旧態依然の全員で作業を負担するというような考え方にとらわれると、非入会の保護者の子どもには卒業式の記念品をあげない、PTA主催のイベントには参加させない、といった妙な区別を行ないかねません。これは間違いと言い切っていいでしょう。
 
ということで、私が思う課題と対策案について、チャートにまとめてみました。
PTAChart_0502
 
「原則」は、対策案を考える上での前提です。
加入意思確認をすることで何らかの区別を行うとすれば、それは子どもたちではなく保護者であるべき、と考えます。大人向けの講演会の参加等は、地域に向けてオープン(非入会の人も参加OK)にしてもいいし、入会した保護者だけに絞ってもいいと思います。ただし、PTAが子どもたちのために活動すると掲げているのであれば、すべての子どもたちに支援活動をすべきです。
 
「現実的な課題と対策」は、主に想定される3つの課題について具体例をあげてみました。
加入意思確認をすることで、おそらく加入率は100%にならないでしょう。でも、それがなんだというんでしょうか。100%でなくても、活動はできるはずだ、という割り切りを持ちましょう。考えるべきことは、全員参加を必須とするのではなく、いかにPTAの活動の意義やメリットをアピールし、また参加のハードルを下げて、たくさんの人に任意参加してもらうか、ということです。「PTAのマーケティング活動」が必要になってくるでしょう。
繰り返しになりますが、子どもたち向け活動には区別はなしです。贈答品など区別を要するようなものがあるなら、廃止も考えるべきでしょう。一方、保護者向けに特化した活動は、会員向けサービスとして区別するのはありだと思います。
 
いずれにしても、「解決策の本質」は、PTA自体が皆が「参加したい!」と思われるようなPTAになることです。もしそうなれば、放っておいてもたくさんの入会希望者に来てくれるのではないでしょうか。
 
 

4.最後に:PTAは、保護者に何を訴えるべきなのか?


 
先に述べた入会届配付だけを先行してしまったPTAにとって、また解決策の本質を突き詰めたいPTAにとって、保護者に何をどう伝えていけばいいのか、が最後の課題になろうかと思います。
ついつい、PTAの楽しさをアピールしたくなります。しかし、学校行事の手伝い・ベルマーク収集・交通安全の旗振り・資源回収・・・表に見えてくるPTAの活動は、正直言って楽しいと言えるものはないのではないでしょうか。世の中にPTA活動より楽しいものはたくさんあります。楽しさで勝負はできません。そもそも、PTAにエンターテインメントの要素はほとんどありません。
 
やはりここは、PTAの存在意義に立ち戻るべきだと思います。普通のボランティア団体との比較で考えるために、チャートを起こしてみました。
PTAChart_0506
 
例として、ある地域で活動するボランティア団体(仮想)を取り上げてみましょう。存在意義は、その地域にある海岸を美しく保つことです。
ボランティア団体の活動は、浜辺のゴミ拾いです。ゴミ拾い自体は、決して楽しい作業ではありません。夏なら炎天下で暑いし、足元は不安定で疲れます。しかし、ゴミ拾いをすることで、浜辺からゴミが目に見えてなくなります。これが直接的な効果として得られます。さらに、その地域で海岸を美しくしたいという同じ思いを持つ仲間たちと出会い、友人となり、浜辺で一緒に遊ぶなど、交流することができます。これが間接的な効果として得られます。そして最終的には、個人個人の活動を集約した団体として、海岸を美しく保つという存在意義が達成されます。
海岸を美しく保つ、という存在意義に共感する人がいれば、作業にかかわらず人は集まりますし、ゴミ拾いという作業はつまらなくとも、直接的・間接的効果が得られ、さらに団体の存在意義を満たし、参加した個人の思いを満たすことにつながります。それが明確であれば、参加者はその団体での活動をし続けてくれるでしょう。
 
PTAも同じではないでしょうか。PTAもボランティア団体というのであれば、何に貢献するのかを明確にした存在意義が必要です。そしてそれにいかに保護者の皆さんに共感してもらうか、活動を通じてどのような直接的・間接的な効果を個人個人が得られ、さらに存在意義を満たすことができるか、個人の思いを実現できるか、ということこそ、アピールすべき内容です。
チャートでは、いくつかの代表的なPTAの「楽しくない作業」をあげてみましたが、いずれも存在意義につなげることは可能です。しかし、存在意義につながらない・つながりが弱い・つながるが継続実施に無理がある、と思うのであれば、作業量を減らすかやめるかをして、他のより存在意義につながる活動に力を注ぐ・新しい活動を始める、という柔軟な運営が求められるでしょう。
 
自分がPTA会長になったとき、PTAの存在意義とはなんだろうと考えました。規約上には文面はありますが、自分としては心を込められませんでした。それで、「保護者にとって子ども達の成長する学校・地域を良くする最良の機会を提供する」ということをミッションとして定め、その実現のためにキャッチコピーを作ったり、広報紙で発信し、保護者向け説明会を実施し、運営方法を効率化するなど様々な改革改善を行なってきました。現役会長に話を聞いてもそのときに作った仕組みは今でもうまく回っており、おそらく、今入会届の仕組みを入れても加入率は高く保てるだろうと思います。
 
今後、個人情報保護の徹底、そこからつながる加入意思確認の徹底の声はどんどん大きくなっていくと思います。だからといって形式的な届け出書類の配付だけをやっても、組織が壊れてしまう恐れがあります。私は、PTAという組織が、「子どもたちの通う地域や学校の環境改善に貢献したい」と思う保護者たちの思いを受け止め、それを存在意義として掲げ、活動してくれるなら、存在し続けてよいと思います。多くのPTAが、そのような組織に生まれ変われるとも思っています。なので、ぜひあるべき姿へソフトランディングしてもらいたい、と思います。当ブログがその手助けになれれば幸いです。
 
 
 

 

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